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「金融業界特化型AIエージェントワークショップ」開催レポート
もくじ
こんにちは、テクノロジー&イノベーション本部(T&I) 開発基盤センター 生成AIイノベーション室の安川です。
先日開催しました「金融業界特化型AIエージェントワークショップ」について、その内容と成果をご報告します。

開催の背景
金融業界ではDX推進が加速する中、AIエージェント技術への関心が高まっています。しかし、「どの業務から適用すべきか」「どのように効果検証を行うべきか」という具体的な導入方法については、多くの金融機関が模索段階にあります。
このような背景から、AIエージェントの基本的な概念の理解から具体的なPoC計画のインプット整備までを、一貫して思考・議論できる実践型ワークショップを企画しました。
ワークショップの概要
- 開催日時: 2025年5月28日(水)13:00〜17:00
- 場所: TIS 豊洲オフィス セミナールーム
- 参加者: T&Iイノベーションセンター株式会社から計13名(FinTech活用における調査・研究職やサービス企画職のみなさま)
- ファシリテータ: TIS フィナンシャル事業部 望月、テクノロジー&イノベーション本部 山口、浅井
- 講師/全体進行: TIS テクノロジー&イノベーション本部 安川
補足
- TIS フィナンシャル事業部: 金融顧客向けシステム開発・運用・コンサルティングを担う組織
- TIS テクノロジー&イノベーション本部: TIS全社・グループ向け戦略の立案と推進を担う組織
ワークショップの推奨参加者
- AIエージェントについて基礎から理解したい方
- 組織にてAIエージェントの具体的な導入検討を始めたいが、何から手をつければよいかわからない方
- 自組織における解決したい課題をベースとしたAIエージェント導入を進めたい方
ワークショップの内容
全体の構成
本ワークショップは、参加者が段階的にAIエージェントへの理解を深めながら最終的に自組織での具体的な導入検討を進められるよう、3つのセッションを通じた体系的な学習体験として設計しました。

本ワークショップの特筆すべき強みは、金融業界特有の課題や業務特性を考慮した実践的内容で構成されている点です。理論を学ぶだけでなく、参加者自身の業務課題を素材とした具体的な検討まで取り組むことができます。
基礎知識の講義と、それを活用した個人・グループでの実践ワークを組み合わせた形式で取り組みました。

セッションの内容
セッション1:AIエージェントの基本概念を理解する
AIエージェントの定義と既存技術(RPAやチャットボット等)との違いを明確にすることで、参加者の理解を深めました。目標に向けて自律的に計画・判断・行動するAIエージェントは、生成AIと対立する存在ではなく、生成AIを思考のエンジンとしながら拡張機能を持たせる仕組みであることを解説しました。

続いて、AIエージェントの自律性を3段階に分類し、補助的な単一タスクから戦略的な長期計画までを段階的に整理しました。金融業界の適用例としては、融資審査の自動化、コンプライアンス監視、顧客問合せ対応などの具体的なユースケースを提示しました。

セッション2:AIエージェント適性業務を評価する
はじめに、実際の失敗事例を分析し、AIエージェント適用時のリスクと対策について学習しました。その後、参加者の業務課題をもとに評価ロードマップを作成し、技術面・業務面・規制リスク面の3つの観点から適性評価を実施しました。


適性評価をクリアした業務について、人間とAIの役割分担や協働におけるコミュニケーション方法を議論しました。

セッション3:AIエージェントPoCのための要件定義に備える
要件定義に必要な項目を整理できるPoC計画骨子の作成ワークを通じて、検証仮説の設定や適用範囲の限定化の重要性を学習しました。評価指標(時間短縮率、エラー検出率、満足度等)の設定により、導入判断の難しさを体感いただきました。また、金融庁や全銀協のガイドラインをAIエージェント活用検討に応用する手法についても解説しました。

本ワークショップでは以下の成果物を作成するよう設計しました。これらの成果物は、ワークショップ当日の課題としてのみならず、参加者が実際に現場へ持ち帰り、AIエージェント導入検討の具体的な材料として活用していただくことができます。
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- 事前課題シート:参加者の業務課題を整理し、ワークショップでの具体的な議論を可能にする資料
- 基本概念の解説資料:金融業界の事例を用いたAIエージェントの基礎理解を促進する資料
- 評価ロードマップ:AIエージェント適用可能性を体系的に評価するフレームワーク
- 導入シナリオ:人間とAIの役割分担を明確にするためのテンプレート
- PoC計画骨子:PoC実施に向けた具体的な計画立案テンプレート
参加者の声
本ワークショップは参加者満足度4.62(5段階評価)を獲得し、参加者からはその価値を実感いただける以下のようなご感想をいただきました。
- 普段の業務フローの整理と課題の明確化を時間をかけて行えたので、AIエージェントの適性をスムーズに評価できました
- 人間とエージェントの役割分担を理解することで、より具体的に業務への活用イメージを持つことができました。
- PoC計画骨子作成ワークが非常に参考になりました。仮説に基づく評価基準の設定が難しく、AIエージェント導入にあたり重要な観点だと実感しました。
- 各テーブルに配置されたファシリテータとの会話を通し、より多くの学びを得ることができました。
ワークショップの実施を希望される方へ
今回開催したワークショップをベースに、金融業界の他のお客様に対してもワークショップの提供が可能です。問い合わせは、TIS フィナンシャル事業部<fbc_contact@ml.tis.co.jp>までご連絡ください。
おわりに
AIエージェント技術は急速に進化していますが、技術だけでなく「どう業務に適用するか」「どのような仮説のもと検証すべきか」という視点が重要です。TISでは、今後もAIエージェント分野におけるお客様への価値提供を強化するための取り組みを積極的に推進していきます。
