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web3の力で地方課題を解決する―Region Link Rivals Expo#002で見えた未来のかたち
もくじ
イントロダクション
日本の地方は、人口減少や産業の衰退、高齢化といったさまざまな課題に直面しています。これらの問題が深刻化する中で、従来の手法だけでは解決が難しい場面が増えています。そんな中、新たな可能性を切り拓く技術として注目されているのが、ブロックチェーンを基盤とする「web3」です。
「Region Link Rivals Expo#002」は自治体関係者や企業、学生たちが一堂に会し、地方課題の解決に向けた具体的な アクションを共創するイベントとして開催されました。私たちTISは、”web3″ というムーブメントおよびその中で使われている技術やコンセプトを地方創生・地方課題解決・関係人口構築に向けて取り組む1企業、出展社として参加しました。
「地方の未来は変えられるか?」―課題と挑戦の背景
地方が抱える課題はあまりにも多く、そして複雑です。人口減少で税収が減り、公共サービスの維持が難しい地方が多く存在します。この問題の根は深く、若者が進学や就職を機に都市に流出し、空き家や耕作放棄地が増えるといった問題が発生しています。これらの課題を解決するためには、従来の方法ではなく、新しい視点や革新的な仕組みが必要とされています。
そんな中、注目されているのがweb3です。web3は、分散型の仕組みを活用し、地方の特産品をグローバルに発信できる、デジタル上で地方にかかわる人口を増やすためのコミュニティ運営ができる技術です。web3を地方課題解決の手段として活用してほしいという想いでイベント出展いたしました。
TISの挑戦―web3の力を伝えるブース
私たちTISのブースでは、以下の2つの展示を通じて、web3がどのように地方課題を解決できるかを実践的に紹介しました。
・ミニセッション
ミニセッションでは、プロジェクターを用いて、Web3ビジネス企画部新人2名がweb3の基礎知識とweb3のビジネス活用例をスライドを用いて説明しました。地方自治体の担当者から熱心な質問が寄せられ、web3に対する関心の高さを確認できると同時に、地方の抱える課題に対しての生の意見を得ることができました。
・実演コーナー
実演コーナーでは、Raspberry Pi(ラズパイ)を使用したブロックチェーンのノード運用デモンストレーションを実施しました。ミニセッションで説明したブロックチェーンや暗号資産の運用について、実際のノード運用を見ていただくことで理解が深めることを目的としました。
ミニセッション―基礎から地方創生の実践例まで

・web3の基礎(ブロックチェーン、NFTなど)
ミニセッションの前半である「web3の基礎」ではweb3に初めて触れる学生や地方自治体の関係者を対象にweb3の基本概念を詳細に解説しました。特にweb3の基礎技術であるブロックチェーンのもつ、分散及び台帳の2つの特徴について学生でも理解できるように説明することに注力しました。また、NFTに関しては、デジタルアートやゲームのアイテムの所有がどのように保証されているかについて具体例を交えて説明し、参加者の理解を深めました。さらに、web2とweb3の関係性にも触れ、「web3がweb2を完全に置き換えるのではなく、それぞれの特性を活かして共存・すみ分けが進む」という考え方を強調。この点が参加者の関心を引き、活発な議論が生まれる場面もありました。
・web3のビジネス活用(DAO、リアルワールドアセットなど)
ミニセッションの後半では、地方自治体の関係者を対象に、地方創生と親和性の高いDAO(分散型自律組織)やRWA(リアルワールドアセット)の具体的な活用方法について解説しました。DAOについては、国内で実施された「山古志DAO」の事例を紹介しました。この事例では、NFTを活用して地域外の人々(デジタルの関係人口)とのつながりを生み出す取り組みが行われており、その成果が参加者の関心を集めました。RWAの事例としては、TISが行った実証実験を取り上げ、地方特産品をグローバル市場に流通させる新たな試みを紹介しました。ここでは、NFTを用いて現実資産を販売することのメリットに注目が集まりました。具体的には、通常の流通ルートに乗せられない地方の特産品を市場に送り出せる点や、ブロックチェーンを活用して流通経路を追跡することで、適正な二次流通を促進できる点が挙げられました。
これらの事例紹介を通じて、web3技術が地方ビジネスにもたらす可能性と、その具体的な活用方法について理解を深めていただくことができました。
実演コーナー―ノード運用のリアルな体験
ノード運用デモンストレーションでは、来場者にブロックチェーン技術の実際の運用を体感していただくことを目的に、ノードの立ち上げとその運用のプロセスを公開しました。このデモでは、Raspberry Piを用いてリアルタイムでノードを稼働させ、分散型ネットワークがどのように機能するのかを視覚的に示しました。
特にミニセッションで説明した「分散してデータを管理するシステム」という概念を、実際に動いているコンピュータを用いて具体的に示したことで、参加者からは「技術の仕組みがより身近に感じられた」といった声が多く寄せられました。この体験を通じて、ブロックチェーン技術がどのように現実の課題解決に応用できるかを、より深く理解していただけたように感じます。
共創の場―ネットワーキングで見えた未来のヒント
ネットワーキングと交流の場は懇親会形式で行われ、終始活気に満ちた雰囲気の中で進行しました。NFTを扱うIT企業と、web3や地方創生の活動を行うアイドルグループが協力して取り組んでいるビジネスの紹介シーンもありました。特に、地方の魅力を発信する新しい方法としてweb3技術がどのように活用できるかについて、参加者の興味を引いていました。
また、ブースを訪れた自治体関係者との意見交換では、地方の課題に対するweb3の応用可能性について議論が交わされました。特産品の流通促進、デジタル住民のためのコミュニティ運営手法、観光資源のデジタル活用といった具体的なテーマが話し合われ、自治体職員や技術者、企業関係者の間で理解が深まる貴重な場となりました。
この交流を通じて改めて感じたのは、web3が単なる技術革新にとどまらず、人と人、地方と地方をつなぐ「橋」としての役割を果たしているということです。参加者同士の意見やアイデアが交差し、新しい可能性や協力のきっかけが次々と生まれる―その様子は、まさに「未来を共創する場」と呼ぶにふさわしいものでした。
未来への展望

イベント内のパネルディスカッション「地方におけるブロックチェーンとWEB3活用の未来」にて地方においてどのようにブロックチェーンを活用するか議論しているWeb3部 山崎副部長
イベントを通じて改めて感じたのは、web3が地方の未来を切り拓く重要な鍵となり得る可能性です。しかし、その実現にはいくつかの課題が立ちはだかっています。特に、技術を理解し活用できる人材の育成や、自治体内での推進体制の整備は欠かせない要素です。ブロックチェーン技術を導入する際の課題については、メインセッションでも多くの関心が寄せられ、活発な議論が行われました。

イベント内のピッチ「地域経済解決に向けた弊社活動のご紹介(web3トークン経済圏の実現)」において弊社事例を紹介するWeb3部 林部長
私たちTISは、今後も地方と連携し、web3を活用した地方課題解決の具体策を提案していきます。そして、次回以降のイベントでは他部署と協力し、より多くの事例を共有できる場を作りたいと考えています。
まとめ
このイベントを通じて、交流を通じて地方にはまだ知られていない観光資源や独自の魅力が多く眠っていること、そして自治体の関係者が予想以上にデジタル化に対して前向きであることを知ることができました。このような積極性とweb3をはじめとするITの力が合わされば、地方と市場を活性化する取り組みはもはや夢物語ではなく、現実の可能性として捉えられると確信できました。
補足
この記事は2024/12/01にiU(情報経営イノベーション専門職大学)で開催された、Region Link Rivals Expo#002 へTISのWeb3ビジネス企画部が参加・出展したイベントレポートです。


