本書について

    本書は、開発プロジェクトへのスキルマップの速やかな導入、効果的な活用を促進するためのガイドです。

    目的

    スキルマップを用いる目的は、主に以下の2点です。

    • リスクの可視化
    • スキルの可視化

    リスクの可視化

    スキルマップを参照することによって、開発チーム内の特定の人物に依存しているスキルが一目でわかり、プロジェクトのリスクを早期発見することができます。

    スキルの可視化

    スキルマップを作成することによって、開発メンバー各人が、何が得意で何が苦手か一目でわかるようになります。
    これにより、ある程度の前提知識をもった円滑なコミュニケーションをとることができます。

    スキルマップの作成方法

    本章ではスキルマップの作成手順について説明します。

    スキル選定

    マップに掲載するスキルを選定します。

    関係者でプロジェクトに必要となる具体的なスキルについて話し合い、マップの横軸に並べます。

    Note:
    チーム発足当初は、必要なスキルを把握できていないことがあります。
    その場合は、要素技術や対外折衝などの一般的なスキルをマップに載せ、スキル更新を繰り返すことで改善していきます。

    スキル評価

    スキルレベルの相互評価

    メンバー間でお互いのスキルレベルを評価します。
    評価は、以下の3段階で行います。

    ◎ : 人に教える事ができる。
    ◯ : 一人で出来る。
    空欄 : 出来ない(フォローが必要)。

    以下の理由により、3段階評価としていますが、必要に応じて段階を増減することも検討してください。

    • スキルの可視化、リスクの可視化の目的に対し、必要十分である
    • 評価が容易であること

    Note:
    チーム発足当初は、お互いのスキルレベルを十分に把握できていないことがあります。
    その場合は、各々の自己評価を記入し、スキル再評価を繰り返すことで改善していきます。

    獲得希望スキルの選択

    今後、自身が獲得したいスキルに★を付けます。 ※1人1つ以上付けることを推奨
    開発メンバー各人にスキル獲得を宣言することにより、各人の成長促進が期待できます。

    スキルマップの例

    名前 Java JavaEE SVN Maven Linux DBMS 性能 対外折衝 設計 書類作成
    山田 ◎ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯
    加藤 ◎ ◎ ◯ ◯ ★ ◎
    鈴木 ◎ ◎ ◯ ◯
    西村 ★ ★ ◯ ★ ◯
    田中 ★ ★ ◯ ★ ◯ ★
    伊藤 ★ ★
    井上 ◯ ◯ ◯ ★ ★ ◎
    斎藤 ◎ ◯ ◎
    山本 ◯ ◯ ★ ◯
    水谷 ◎
    記号 意味
    ◎ 人に教える事ができる。
    ◯ 一人で出来る。
    空欄 出来ない(フォローが必要)。
    ★ 獲得希望。

    スキルマップの活用方法

    本章ではスキルマップの活用場面や、活用方法について説明します。

    ペア作業の割り振り

    技術力の引き上げ、特定タスクの属人化を避けるために
    以下のようなペアで作業を行う手法を取ることがよくあります。

    • ペアプログラミング
    • ペア調査

    作業の進み具合やメンバーの成長具合を考慮した適切な組み合わせを考える際に、
    技術力の高低や業務知識の有無といったスキルマップの情報が活用できます。

    勉強会担当割り振り

    技術力向上や業務知識獲得のたにチーム内で勉強会を開催する場合、
    発表者の選定にスキルマップの★(獲得希望)と◎(人に教える事ができる) の情報が活用できます。

    スキルマップの更新方法

    本章ではスキルマップの更新タイミングや更新手順について説明します。

    更新タイミング

    スキルマップの更新は基本的にどのタイミングで行ってもかまいませんが、2週間~1ヵ月(スクラム開発ではスプリント終了のタイミング)で更新を行うことを推奨します。

    スキル更新

    プロジェクトを進める中で、スキルマップに掲載されていない不可欠なスキルが判明してくることがあります。

    スキルの列挙が不十分な状態で進めると、スキルマップ運用の目的を果たせません。
    そこで、スキルを追加します。

    ただ闇雲にスキルを追加すると、マップが複雑になってしまうため、
    以下のような投票を行うことにより、不可欠か否かを判断します。

    • 各人が、掲載すべきスキルを1票ずつ投票
    • 全体の3分の1以上得票したスキルを採用

    Note:
    投票制度を利用することにより、全体の意見を反映させたスキルの洗い出しを進めることができます。

    スキル再評価

    最初に評価した状態のままだと、以下のような事象を考慮できておらず、
    誤った情報を使い続けてしまう可能性があります。

    • 成長によるスキルレベル向上
    • 評価誤り

    常に新しい状態を保つためにスキル再評価を行います。
    スキル再評価はリーダーとの面談などで行うことを推奨します。

    Note:
    面談はスキルマップ更新のためだけではなく、定期的なリーダーとメンバーの認識合わせにも役立ちます。