はじめに

本ページでは、新規事業開発におけるステージ・ゲートプロセスの説明を行い、各ステージの評価基準を公開します。新規事業を成功させる上で何を達成しなければならないかを、この評価基準に示しています。

ただし、必要となる基準・注力しなければならない基準は事業毎に異なるため、個々の事業にて取捨選択してください。

ステージ・ゲートプロセスとは

当社は、新規事業開発に「ステージ・ゲートプロセス」と呼ばれるプロセスを使用しています。

一般に、ステージ・ゲートプロセスは多産多死を前提に作られています。 プロセスを数段階の「ステージ」に区切り、ステージの間に「ゲート」を設け、そのゲートで事業アイデアをふるいにかけて絞り込んでいきます。 明確な基準を用い、ゲートで段階的に絞り込んでいくことで、以下のような投資の無駄を防ぎます。

  1. 基準が明示されていない結果として、事業化の出口が見えないまま滞留してしまう
  2. 事業化目前になってから致命的な問題が発覚し、事業開発が中止に追い込まれる
  3. フィージビリティスタディではある程度の市場が見込めたが、市場の環境が変わり、試作品はできても顧客が見つからなくなる

TISのステージ・ゲートプロセス

当社で用いているステージ・ゲートプロセス(以下、本プロセスという)は以下となります。

 

ここにはCPFPSF等、さまざまな略語が登場しますが、これらはスタートアップのフェーズとして登場するものです。概要は以下の図をご参照ください。

我々のステージ・ゲートプロセスでは、市場トレンドの変化への対応や「死の谷」を回避するため、事業化の見極め期間は6ヵ月に設定しています。

SPFフェーズまでは、事業仮説を構成する「顧客」「課題」「ソリューション」を”探索し検証”するフェーズであり、リーン・スタートアップ手法やデザイン思考を基に、アイデアのブラッシュアップから想定顧客像の構築、ニーズの仮説構築、プロトタイプ(試作品)を通じた検証を行います。
「顧客」「課題」「ソリューション」は相互に関連しながら解像度があがっていきます。このため、このステージ・ゲートプロセスは必ずしも記載している順番に進める必要はありません。複数回ゲートを通すこともあるでしょう。どのように進めるかは事業開発の関係者間で判断してください。それを判断すること自体が事業開発です。

 

以降の章で記載する基準を参考に、事業で必要と判断した基準を満たした段階で、対応するステージの審査を受けましょう。事業計画策定ステージ以外の審査はチェックポイントに過ぎず、事業成功の確度を高めるために行うものであるため、スピーディな受審を目指してください。

 

以降では、各ステージの評価基準と想定成果物、およびそのステージのアクティビティを記載します。

 

企画立案ステージ新規事業のアイデア出しから企画審査まで

企画立案とは、「誰」のどんな「課題」をどのように「解決」するのか、といった事業アイデアの骨子を検討するフェーズです。

事業アイデアを具体化し、課題が本当に存在するか、解決策が適切かを検証するための準備をします。

企画立案ステージの成果物と評価基準

このステージの評価方針

  • なぜその事業が世の中にとって必要なのか、なぜ受け入れられるのか言語化できているか
  • リーンキャンバスとビジネスモデル図の整合性が合っているか
  • ビジネスに大きな影響を与える未検証の仮説がある場合、その対策・対応まで検討できているか

観点および成果物と評価基準

観点 対象成果物 評価基準
市場・事業規模の大きさ

 

 

対象市場の規模・動向分析 取り組む価値がある市場であるか

  • 具体性:対象市場が言語化できているか
  • 妥当性:対象市場の概算規模の算出方法に無理がないか
  • 市場性:対象市場の概算市場規模が100億円以上か
  • 成長性:市場規模の今後のCAGRがプラスか
アイデアの要素間の整合性 リーンキャンパス 「顧客」「課題」「解決策」の繋がりに納得感があるか

  • 簡潔性:リーンキャンバスを見て、事業案を理解できるか
  • 論理性:「顧客」が「課題」を解決するために「解決策」を利用する理由に納得感があるか
ビジネスモデル・スキームの実現可能性

 

ビジネスモデル図 収益を生み出すために、適切なビジネスモデルになっているか

  • 網羅性:主要な関係者とモノ、お金、情報の流れが押さえられているか
  • 論理性:ビジネスモデルの利点と注意点を検討した上で、適切なビジネスモデルを選択しているか
検証コストの妥当性

 

コスト計画 不要なコストが含まれておらず、使用用途に納得感があるか

  • 活動コストに大きな抜け漏れがないか
  • 予算の使用用途に納得感があるか
  • 活動コストを削減するため、工夫が見られるか

アクティビティ

  1. 新規事業開発の目的や前提条件を押さえる
  2. マーケットドリブン、アセットドリブン等、アイディエーションの手法を選択し、選択した手法に応じた検討の進め方を実施する
  3. 良いアイデアを選ぶ
  4. 簡易リサーチを実施し、アイデアに「根拠」を持たせる
  5. リーンキャンバスにアイデアを記入し、言語化にチャレンジする
  6. 市場規模を概算し、ビジネスモデルやスキームから収益性を検討する

 

課題検証ステージ ― CPF(Customer Problem Fit)とは?その進め方

CPFとは、Customer Problem Fitの略で、顧客が課題を持っているかを検証するフェーズです。

顧客が持つ、まだ解決されていない課題(仮説)の言語化と精緻化を行います。

顧客定義、課題仮説定義、顧客インタビュー、バーニングニーズの発見と検証を行います。

企画立案ステージの成果物と評価基準

このステージの評価方針

  • 顧客がお金を払ってでも解決したい課題を見つけられているか
  • リーンキャンバスとビジネスモデル図の整合性が合っているか
  • ビジネスに大きな影響を与える未検証の仮説がある場合、その対策・対応まで検討できているか

観点および成果物と評価基準

観点 対象成果物 評価基準
顧客セグメントの具体性/妥当性 顧客セグメント分析結果とエビデンス 具体的で納得感の高い顧客像を描けているか

  • 顧客を正しく特定するための比較軸を正しく選べているか
  • その上で、セグメント間の比較が正しくできているか

重要なステークホルダーを洗い出せているか

課題の蓋然性(確からしさ) 課題検証結果 顧客が「お金を払ってでも、解決したい課題」を特定できているか

  • インタビュー前までに、しっかりと課題の深堀りができているか
  • インタビュー準備の段階で、正しい質問を設定できているか
  • 検証結果を客観的に分析できているか
検証回数の妥当性 インタビュー実施実績 インタビューの質と量がどれも説得力があるか

  • 顧客像に合う人にインタビューできているか
  • 5人()以上のインタビューができているか

アクティビティ

顧客の定義

顧客のセグメントを定義します。

  1. 「一人の人物」を想定して、そのプロフィールを、趣味や嗜好、価値観や行動パターンまで、かなり詳細に設定していく。企業向けアイデアの場合は、「企業」と「企業の担当者」の2つのペルソナを合わせた形式になる
  2. 上記で顧客が定義できたら、どのくらいの数がいそうなのかを確認する

課題仮説の定義

顧客の課題(お金を払ってでも解決したいこと)を深堀りします。

  1. 具体性、場面、発生要因、未解決要因、代替策等、様々な観点で掘り下げ、構造化する
  2. 発生要因を掘り下げ、お金を払ってでも解決したい課題を見つける

 

顧客インタビュー

顧客が抱える「お金を払ってでも解決したい課題」かどうか、インタビューを通じて理解します。

  1. 顧客/課題を整理する
  2. インタビュー相手を探す
  3. インタビューで得たい結果を明確にし、インタビュー項目・質問順序等を設計する
  4. インタビューを実施する
  5. インタビュー結果から共通要素・共通していない要素を明確化にし、共通していない場合をまとめる

 

バーニングニーズの発見と検証

本当に顧客が速やかな解決を求める課題なのかを客観的に評価する。

  1. 課題の広さ:同様の課題を抱える顧客が世の中にどの程度いるのか
  2. 課題の発生頻度:どの程度の頻度で課題が発生するのか
  3. 課題の深さ/深刻さ:どの程度困っているか、悩んでいるのか

ソリューション検証ステージ ― PSF(Problem Solution Fit)とは?その進め方

PSFとは、Problem Solution Fitの略で、課題に対する解決案が適切かを検証するフェーズです。 事業オーナーは、顧客が検討している商品・サービスを利用する理由を明確に言語化し、プロダクトオーナーが課題解決できるソリューション及びプロトタイプを完成させます。

企画立案ステージの成果物と評価基準

このステージの評価方針

  • 提供価値を実現する解決策が、以下の観点で構築できそうか
    • 時間的側面, 人的側面, 技術的側面, 法律的側面, 特許の側面
  • 潜在的な競合も含め、他社が参画してきた時に勝ち筋がありそうか
    • ビジネスの勝ちパターンが把握できているか
    • さらに自社の強みを活かした差別化が可能か
  • 顧客がお金を払ってでも解決したい課題を対象にしているか
  • リーンキャンバスとビジネスモデル図の整合性が合っているか
  • ビジネスに大きな影響を与える未検証の仮説がある場合、その対策・対応まで検討できているか

観点および成果物と評価基準

観点 対象成果物 評価基準
課題解決価値の蓋然性

 

解決策と価格の検証結果 解決策の提供価値に対する納得感を得られているか

  • CPFフェーズで見つけた課題をクリアできる解決策になっているか
  • 顧客が評価できる適切なプロトタイプを構築できているか
  • インタビュー準備の段階で、正しい質問を設定できているか
  • インタビュー準備の段階で、価格の仮説を立てているか
  • 検証結果を客観的に分析できているか
解決策の有効性/十分性

 

機能の検証結果 解決策の機能に有効性/十分性があるか

  • 解決策の提供価値を言語化できているか
  • 提供価値を基に機能に落とし込めているか
  • 絶対に必要な機能をプロトタイプに落とし込めているか
  • インタビュー後に、「絶対に必要な機能」と「実装されているがなくてもよい機能」を明確にできているか
  • エキスパートレビューを行った結果、UI/UXの改善が必要な箇所を示せているか
  • 検証結果を客観的に分析できているか

解決策は技術実現できそうか(MVP機能要件の有効性の確認だけではなく事業性の有効性の確認を含む)

市場の理解度

 

市場概況 (規模、成長率、市場動向) 参入する市場の魅力やリスクを分析できているか

  • 事業として、参入する意味のある規模があるか
  • 成長が見込める市場か
  • 信頼に足るエビデンスが提示されているか
競合/代替品の理解度

 

競合/代替品調査結果一覧
(対象顧客、解決する課題、解決策/プロダクト、ビジネスモデル、価格など)
競合軸を定義して競合や代替品を把握できているか

  • 解決策/提供価値が類似している競合代替品を調べられているか
  • 将来の競合進化による脅威やリスクが洗い出せているか
マーケティング・セールス戦略の妥当性

 

マーケティング戦略
(顧客の購買プロセス、購買プロセス毎のアプローチ施策)
顧客が購買しそうな設計ができているか

  • 顧客の購買までのプロセスを正しく設計できているか
  • それぞれのプロセスでのアプローチ方法は適切か

ビジネスが成功できそうなシナリオを描けているか

  • いつまでに何を達成するかを明確に描けているか
  • 商品・サービスの価格設定や、販売チャネルを決めているか
  • 購入意思のある顧客候補を獲得する営業施策があるか
  • 見込み客リストの初版を作成できているか
  • 提案・交渉条件の初版を策定できているか
  • 顧客との契約内容の初版ができているか
  • 営業管理方法の初版が策定できているか
  • エキスパートレビューを行った結果、マーケティング/セールス戦略の改善が必要な箇所を示せているか

 

収益の大きさ

 

スナップショットの収益分析結果
LTVCAC、または概算収支)
どれくらい売上を上げれば利益が出るのか/どれくらい売上を上げないと赤字になってしまうのかを見極められているか

  • LTVとCACを正しく確認できているか
  • 変動費を正しく設定できているか
  • 固定費を正しく設定できているか
  • 損益分岐点売上高を正しく算出できているか

バーニングニーズのセグメントで売上計画を試算しているか

バリューチェーンや業務フローが整理されていてコストとして試算できているか

検証回数の妥当性

 

インタビュー実施実績 インタビューの進め方と件数に納得感があるか

  • 顧客像に合う人にインタビューできているか
  • 正しいエキスパートにレビューを依頼できているか
  • 顧客及びエキスパート、バーニングニーズのセグメントにそれぞれ5()以上にインタビューできているか
検証コストの妥当性 コスト計画 検証に必要なMVPを定義し、適切なコストをかけて検証を進めているか

  • 検証すべき内容を優先順位づけして選定できているか
  • 検証内容と検証方法に整合性があるか
  • コストをかけるべき内容とコストの大きさに納得感があるか

アクティビティ

ユーザーシナリオ整理

顧客がサービスを認知してからの一連の行動を可視化する。

  1. ペルソナを確認する
  2. ペルソナの行動を仮説で設計する
  3. 行動を可視化するフレームワークを決定し、書き込む
    以下は、サンプルです。

プロトタイプ作成

商品・サービスの仕様を固めていくためのプロトタイプを開発する。プロトタイプにより、顧客のより具体的なフィードバックを得ることができます。

詳細については関連ノウハウ「プロトタイプ作成のプロセス」を参照してください。

 

顧客インタビュー

プロトタイプを用いて顧客や内部関係者が確認・評価をして、商品・サービスの仕様を固めます。

  1. お金を払ってでも欲しいものになっているかインタビューする
  2. 提供価値を実現するために必要な機能(must have)、実装されているがなくても良い機能(nice to have)を確認する

市場競合・調査分析

商品・サービスに関するマクロ動向=市場と、そこでの競争相手=競合を分析し、自社としてどのような特徴のサービスにすべきかを示します。

  1. 市場分析として、関連市場の特定、市場規模推移調査、市場トピックの把握を行う
  2. 競合分析として、競合となりうるサービスを洗い出し、対象顧客・課題・主要機能・提供方法・価格等を分析。その結果を踏まえ、自社のサービスとして具備すべき機能・価格を決定する

マーケティング戦略立案

どのような場所(メディア)でどのような施策を実施すると、サービスへの認知獲得から購買検討まで顧客の感情を押し上げることができるかを検討します。

  1. 購買に至るプロセスを検討する(例:認知→課題認識→解決策模索)
  2. どんなメディアで顧客にアプローチするかを検討する
  3. 実際のマーケティング施策の中身を検討する

セールス戦略立案

マーケティング戦略が正しいかどうかをこのステップで精緻化・具体化します。

  1. いつまでに何を達成しないといけないかの目標を決める
  2. 期間を区切り、それぞれの具体的な数値目標を決める
  3. 顧客目線・開発目線でサービスの価格を設定する
  4. サービスをどこで販売するのか決める
  5. マーケティング戦略を確認し、リード顧客に対してどうやって営業していくかプロセスを確認する
  6. 見込客リストを作成する
  7. 顧客のセグメント毎に提案・交渉条件を策定する
  8. 弁護士や法務に相談しつつ、BtoCの場合は利用規約を、BtoBの場合は契約書を作成する
  9. 売上管理方法を策定する

収益性分析

  1. 最低限の収益性の状態としてLTV≧CAC1が成立していることを確認する

 

エキスパートレビュー

専門家から問題点の指摘と改善方法の提案を受けます。

  1. エキスパートレビューの目的・達成方法・依頼先を検討し、依頼する
  2. 評価指標を設定したうえで評価を行う
  3. 評価結果から問題点を洗い出し、改善施策を作る
    変動費・固定費・販売価格から損益分岐点を算出し、理想的な販売価格を実現できそうか確認する

 

概念実証ステージ ― SPF(Solution Product Fit)とは?その進め方

SPFとは、Solution Product Fitの略で、顧客から吸い上げたソリューションの要件を商品・サービスとしてしっかりと表現できているか、その商品・サービスによって顧客は課題を解決できるかなどを検証します。

この検証を通じて、セールスやマーケティング戦略を精緻化し、事業化にむけた準備を進めていきます

概念実証ステージの成果物と評価基準

このステージの評価方針

  • 商品・サービス開発およびマーケティング/セールス活動が、以下の観点で実現できそうか
    • 時間的側面, 人的側面, 技術的側面, 法律的側面, 特許の側面
  • 顧客がお金を払ってでも解決したい課題を対象にしているか
  • 提供価値を実現する解決策を構築できそうか
  • 潜在的な競合も含め、他社が参画してきた時に勝ち筋がありそうか
  • リーンキャンバスとビジネスモデル図の整合性が合っているか
  • ビジネスに大きな影響を与える未検証の仮説がある場合、その対策・対応まで検討できているか

観点および成果物と評価基準

観点 対象成果物 評価基準
マーケティング戦略の有効性 マーケティング戦略(更新版) 顧客に価値訴求をするために適した戦略を策定できているか

  • 顧客の特性を踏まえて、購買までのプロセスが正しく設計できているか
  • プロセスや顧客の思考を踏まえて、適したアプローチ方法を選定できているか
  • アプローチ内容に具体性があり、納得感があるか
セールス戦略の有効性 セールス戦略/テストセールス実施結果
(セールスチャネル、セールスフロー、価格の受容性、継続利用/定着の可能性)
顧客を見つけ、獲得するために適した戦略を策定できているか

  • KPIを達成しているか
  • 検証結果を客観的に分析できているか
  • 検証結果を踏まえて策定したセールス手法に納得感があるか
製品開発の実現可能性 開発ロードマップ 本番の開発においても実現性が高いと期待できるか

  • 本番に必要な要件の抽出と優先順位づけができているか
  • 実現のために必要な技術要素の開発目処が明確か
  • 本番の開発スケジュールが策定されているか

顧客に提供すべき価値を認識し、必要とするプロダクトを言語化し開発計画を描ける人物を、次ステージの体制にバイネームで組み込めているか

製品体験全体の有効性

 

MVPまたはPoC実施結果 顧客に期待する行動が実現しているか

  • 顧客が想定と異なる行動をしていないか
  • 顧客のフィードバックを取捨選択し、MVPの改善箇所の洗い出しができているか

アクティビティ

検証仮説定義

顧客から吸い上げたソリューションの要件を商品・サービスとしてしっかりと表現できているか、その商品・サービスによって顧客は課題を解決できるかを検証するための仮説を構築します。

  1. 仮説を洗い出す
  2. 仮説を「重要度」と「不確実性」の2軸で評価し、検証すべき仮説=重要だが不確かなものを選定する

MVP開発・PoC・テストセールス準備

MVPとはMinimum Viable Productの略で、「仮説を検証可能な最小限の製品」を意味しています。立てた仮説を検証するために、適したMVPの開発や、PoCやテストセールスの準備をします。

  1. MVPキャンバスを使って検証内容を整理する
  2. MVPの目標数値(KPI)を策定する
  3. 「人力で代用できる部分」と「システム開発すべき部分」を切り分けMVPの型を検討する
  4. 必要最小限の機能を、ユーザーストーリーマップ2を定義することで洗い出す。
    ユーザーストーリーとはユーザーの役割、目的と利益から構成される1つの文章で表現される。
    それらの意味を持つかたまりをマップに切り出して整理したものがユーザーストーリーマップとなる。

    このマップを元にどのリリースで機能をどこまで作るかのリリースラインを定義する。
  1. サービスブループリントを作成し、検証に向けたオペレーションを策定する
  2. 組み合わせる既存プロダクトや分析ツールの準備を進める
  3. MVPを開発する
    技術選定や見積に関しては関連ノウハウ「新規事業開発のための技術選定ガイド」、「プロダクト機能の見積」を参照してください。
    MVP開発の詳細は関連ノウハウ「仮説検証とMVPへの向き合い方」を参照してください。

 

PoC・テストマーケティング・セールス

PoC(概念検証)やテストマーケティング・セールスを実行します。

  1. MVPをリリースし、ターゲット顧客(被験者)が体験できる状態にする
  2. ターゲット顧客に対し、メールや電話、プレスリリース等でリリースを連絡する
  3. 顧客に体験してもらい、必要に応じてインタビューやアンケートを実施、検証結果を整理する

 

セールスレポート分析・マーケ・セールス戦略精緻化

PoC・テストマーケティング・セールスの結果を分析し、商品やサービス、マーケティング戦略やセールス戦略の磨き込みを行います。

  1. テストセールスの結果を顧客セグメント毎に整理する
  2. KPIの達成度合いを確認する
  3. 仮説と検証結果の間のギャップを洗い出す
  4. ギャップを踏まえて、マーケティング戦略やセールス戦略を見直す

 

事業計画立案ステージ ― 事業計画・収支計画の作成方法

事業計画立案とは、どのくらい投資をして、どのくらい儲かりそうかを検証するステップです。

決裁者に対して、意思決定に必要な情報をわかりやすく伝達できるように、これまで準備してきた情報を整理することに加えて、収支計画を策定します。

事業計画立案ステージの成果物と評価基準

このステージの評価方針

  • 事業が、以下の観点で実現できそうか
    • 時間的側面, 人的側面, 技術的側面, 法律的側面, 特許の側面
  • 潜在的な競合も含め、他社が参画してきた時に勝ち筋がありそうか
    • 当ビジネスの勝ちパターンが把握できているか
    • さらに自社の強みを活かした差別化が可能か
  • リーンキャンバスとビジネスモデル図と整合性が合っているか
  • ビジネスに大きな影響を与える未検証の仮説がある場合、その対策・対応まで検討できているか

    観点および成果物と評価基準

    観点 対象成果物 評価基準
    事業化戦略の妥当性

     

    事業計画書 ビジネスとして取り組む意義があり、成立し、儲かるのか

    • 目指す世界観:巻き込みたい人や巻き込まなければならない人が共感できるか
    • 事業概要:事業アイデアの骨子となる顧客、商品・サービス概要、提供価値・メリットが明確か
    • 事業概要:参入障壁が何か、特異点が何か、初期アイデアの商品・サービスをどのようにアップデートさせていくか、が明確か
    • 事業概要:JV設立や新たな事業部の設立など、事業の推進体制が明確か
    • 技術実証(が必要なもののみ):先行研究や事例などのエビデンスを用いて、実現できることが立証できているか
    • ビジネスモデル:ステークホルダーを含めた人/モノ/カネ/情報の流れが整理できていて、収益を生み出す仕組みが明確か
    • ステークホルダー:事業を実現するにあたって絶対に必要な役割を検討し、巻き込むべき組織を把握できているか
    • 市場分析:参入する市場の魅力度やリスクを分析できているか
    • 競合分析:競合や代替品に勝てそうか
    • KPI設計:売上・利益を担保するための重要なKPIを正しく設定できているか
    • ロードマップ:計画達成に向けた進め方を描けているか
    • マーケティング戦略:顧客の購買を実現する設計ができているか
    • セールス戦略:顧客の購買を促進する設計ができているか
    • 収支計画:下記「収益の大きさ」参照
    • 自社との親和性:TIS社として事業化する意義を見出せているか
    • リスク要因:下記「ビジネスリスク対策」参照
    • 今後のアクションプラン:残タスクを把握していて、それを誰がいつまでに実行するかが明確か
    開発計画の妥当性 開発計画 事業を支えるプロダクトが表現されており、開発・リリースにフィージビリティがあるか

    • 事業価値を提供するプロダクトに求める要求・要件が明確に言語化されているか
    • 事業価値を提供するためのプロダクトイメージが言語化されており、他者がプロダクトの全体像を理解できるか(例:プロダクトバックログ、画面遷移図)
    • プロダクトの持つべき機能に関して、具備すべきという観点での優先順位が明確か
    • プロダクト価値の源泉となる機能に関して、その実現方法・アーキテクチャが言語化されているか
    収益の大きさ
    (3
    5年の経時的変化)
    収支計画 いつ、どの程度の収支/投資対効果となるかが可視化できているか

    • 収入の構成が正しいか。収入試算が正しくできているか
    • 支出の構成が正しいか。支出試算が正しくできているか
    • 累計収支が正しく算定できているか

    売上高が3年後に数億円、5年後に十数億円規模になる見込みがあるか

    ビジネスリスク対策 リスク/対策一覧 事業上のリスクが明確で、対策・対応まで検討できているか

    もしくは事業上のリスクがないことが言えるか

    外部有識者による客観的妥当性 外部有識者レビュー結果 (法的/経済的/技術的観点) 外部有識者が見て、上記「ビジネスリスク対策」が適切であるか

    アクティビティ

    事業計画書作成

    事業計画書は、一般的に以下の1から15で構成されます。事業計画書の各アクティビティに関する成果物は、事業オーナーとプロダクトオーナーが密接に協力し合いながら作成します。 

    1. 目指す世界観
    2. 事業概要
    3. 技術実証
    4. ビジネスモデル
    5. ステークホルダー整理
    6. 市場分析
    7. 競合分析
    8. KPI設計
    9. ロードマップ
    10. マーケティング戦略
    11. セールス戦略
    12. 収支計画
    13. 自社との親和性
    14. リスク要因
    15. 今後のアクションプラン

     収支計画

    いつ、どの程度の収支・投資対効果となるか、累計収支算定表を使って可視化する。

    1. 収入の試算
    2. 支出の試算
    3. 累計収支算定

    プロダクトの言語化

    プロダクトの骨格を形作るには、「プロダクトバックログ」「概念データモデル」「非機能要件」「画面遷移図」「業務フロー」の5つのドキュメントが必要です。

    詳細については関連ノウハウ「プロダクトの言語化」を参照してください。

    事業化準備ステージ― 新規事業運営の体制作りとサービス開発

    事業化準備とは、事業を運営するための体制作りやサービス開発等、事業化に向けた準備をし、リリース判断を行います。

    事業化準備ステージの成果物と評価基準

    このステージの評価方針

    • 事業が、以下の観点で実現できそうか
      • 時間的側面, 人的側面, 技術的側面, 法律的側面, 特許の側面
    • 潜在的な競合も含め、他社が参画してきた時に勝ち筋がありそうか
      • 当ビジネスの勝ちパターンが把握できているか
      • さらに自社の強みを活かした差別化が可能か
    • リーンキャンバスとビジネスモデル図の整合性が合っているか。
    • ビジネスに大きな影響を与える未検証の仮説がある場合、その対策・対応まで検討できているか

    観点および成果物と評価基準

    観点 対象成果物 評価基準
    体制/オペレーション構築の進捗 体制図/主要業務フロー図/事業化タスク一覧 事業化に向けたタスクが完了しているか

    • 体制がバイネームで示されているか
    • 主要業務フローを構築できているか
    • その他、事業化に向けたタスクのうち、必須のタスクは完了しているか
    資本政策の妥当性 時期別株主構成/保有比率
    • 時期別の株主構成/保有比率を検討できているか
    • 事業計画上の投資/費用発生時期と資本金増強時期が対応しているか(または、借り入れの目処を立てられているか)

     

    事業計画の最新化 事業計画書
    • マーケティングプランが最新化されているか
    • セールスプランが最新化しているか
    • 収支計画が最新化されているか
    • 外部環境に変動がないか
    • 新しいリスクが洗い出されているか
    サービス品質の妥当性

     

    リリースクライテリア一覧 リリースの以下の基準を満たすこと

    • 必要な品質基準(定性評価、定量評価、審査観点)を満たしていること
    • Apple、Google等の各ストアのリリース基準を満たしていること。
    • リリース後の運用フローが定まっていること
    • ローンチ時のSLO/SLIを策定済みであること
    • データドリブンなモニタリングの仕組みと運用フローが定まっていること
    • インシデントレベル毎のエスカレーションルールとエスカレーションパスが明確になっていること
    • オンライン・レピュテーション・マネジメントルールが定まっていること(投稿監視含む)
    • 事業の面で以下がなされていること
    • リリース時点の集客数、見通し、PL、限界利益(固定費、変動費)と当初計画との差異が明らかなこと
    • 競合他社とは、サービス&技術面で比較検討がなされ、市場提供に対しても開発、設計、マーケティング、営業・拡販手段、アフターフォローで、KFSが検討さていること
    • 製作委員会等利益分配方式有りの場合は、当初契約条件、レベニューシェア条件、商標・意匠権・利用許諾・のれん等の制約事項有無、使用期限および従量制と固定費用の比率の再確認ができていること
    • プロダクトとサービスの撤退判断の基準点と第三者機関への審査要請を含めた客観的なモニタリング方法が定まっていること

    プロモーション対応が定まっていること

    • ブランディング、プロモーション、プレスリリースなど対外発信対応の計画が定まっている。
    • 競合がある場合は、競合のモニタリング方法と対応方針が定まっていること。

    法制度の確認と必要な届出承認が完了していること

    • 個人情報及び機密情報の取り扱いが有る場合は、社内ルールに準拠した情報保護のルール及び運用フローと体制の整備が完了していること
    • 公官庁への事前届出及び承認が必要な事業の場合は、事前の届出承認が完了していること。(例:電気通信事業法、風営法、電波法、有料職業紹介事業者、古物商など)
    プロダクト品質の妥当性 品質計画/品質評価/出荷審査クライテリア一覧/テスト観点網羅性評価/テスト種別網羅性評価 計画の合意

    • リリース計画が組織長と合意されていること

    開発プロセスの遵守

    • リリース対象の機能/非機能の仕様が事業オーナーと合意されていること
    • ピアレビューや有識者レビューといった品質担保の開発プロセスが遵守されていること
    • 新規開発・アーキテクチャ追加/見直し時に、経験豊富なアーキテクトによってアーキテクチャや実現方式の妥当性を確認されていること
    • 外部のクラウドサービスを利用する場合、リスクおよびその対策が十分に検討されていること
    • セキュリティ面でIPAOWASPのチェック観点を用いて検討漏れがないかチェックしていること
    • リリース対象に不具合対応が含まれる場合は、対応した不具合について横並びチェックと再発防止を実施済みであること、またはその対応が計画されていること
    • マニュアルやガイド機能を追加した場合は、第三者検証によりガイド目的の達成を確認できていること
    • OSSやサードパーティのライブラリ等を使用する場合は、ライセンスや利用規約を確認し、利用にあたり問題がないことを確認できていること。利用するOSSにコピーレフト型のライセンスがないこと
    • アプリ以外の関連するコンテンツの影響有無を確認し、影響がある場合は修正または修正を計画していること
    • アプリケーションのソースコード、社外公開コンテンツはバックアップが取得されていること

    品質計画について

    • 品質計画が事前に合意され、それに従い品質が確保されていると評価できること。

    アクティビティ

    JV設立・事業部化

    推進体制の検討観点チャートを使って推進体制を選定、検討します。

    1. 事業の特性を整理し、適した推進体制を選定する
    2. 事業資金を調達するための資本政策を検討する

    オペレーション・人員設計

    商品・サービスを提供するために必要な業務を洗い出し、業務オペレーションの流れ、必要な人員を算出します。

    1. 「何」の業務オペレーションを設計するのかを決定する
    2. 事業に関わる主要な関係者を洗い出す
    3. 関係者のオペレーションフローを記載する
    4. 関係者毎に対応に要する時間を設定する
    5. 必要な人員を算出する

    サービス開発

    システム開発の場合は、何を作るのかを大まかに決めてから、どう作っていくのか具体的に設計し、開発していきます。

    詳細については関連ノウハウ「サービス開発の進め方」を参照ください。

    事業性確認・事業性拡大ステージ

    事前に立てていた収支計画と実績値を照らし合わせ、大きなギャップがある場合は原因を分析し、事業の改善と更なる拡大を目指して施策を検討するステップです。

    事業性確認・事業性拡大ステージの成果物とクライテリア

    (このステージでは、プロダクトやソリューションのリリース後のため評価基準は特に設けられていません。)

    アクティビティ

    1. 収支計画と実績値を比較し、ギャップがある項目を洗い出すAARRR指標を参考にギャップの原因を深堀りする

    2. 打ち手を検討し、実施する
    3. 打ち手の前後の時系列で、「数」ではなく、「割合」の変化を見て顧客の反応を見極める

    1. 北嶋貴朗、『イノベーションの再現性を高める 新規事業開発マネジメント 不確実性をコントロールする戦略・組織・実行』、日経BP、2021。↩︎
    2. Kenneth S. Rubin、『エッセンシャルスクラム』、翔泳社、2014。↩︎