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障害テストツール
もくじ
はじめに
このツールは障害テストを行うための環境構築と基本的な障害のシミュレーションをサポートするツールです。障害テストをおこなうには障害のシミュレーションやメトリクス収集・監視が必要で、それらが可能なツールとなっています。コンテナ化しているため、オンプレやクラウドなどのプラットフォームに依存せず容易に構築できます。また、CPUなどのリソースに高負荷がかかっている状況やネットワーク障害などのシミュレーションが可能となっています。
ツール概要
以下の図のような構成の障害テスト実行環境を構築できます。環境を構成する各ソフトウェアの役割はこちらを参照してください。
ツールを構成するソフトウェアはすべてOSSのため無償で利用でき、それらのソフトウェアをdocker composeコマンドで容易に立ち上げられるcompose.yamlファイルの提供もしています。

本ツールにできること
本ツールではChaos Toolkitを利用して障害テストシナリオの記述・実行をおこないます。シナリオ内では障害のシミュレーションやJMeterシナリオの呼び出しなどが可能で、JMeter実行結果やNode Exporterから取得したリソース情報を用いてメトリクス監視がおこなえます。
障害シミュレーション
テスト対象のシステムに対して以下の障害をシミュレーションできます。
- CPU負荷
- メモリ負荷
- ディスク負荷
- I/O負荷
- OSシャットダウン
- 時刻変更
- プロセスキル
- ネットワーク遅延
- パケットロス
- ネットワーク遮断
物理電源の切断など、物理的な事象を含んだシナリオ作成や実行は本ツールでは対応不可能です。
トランザクション投入
JMeterを利用してトランザクション投入をおこなえます。JMeter実行結果はInfluxDBに蓄積され、レイテンシー、エラー率とスループットを計測できます。
メトリクス収集・監視
JMeter実行結果とNode Exporterで取得できるリソース情報をそれぞれInfluxDBとPrometheusに収集し、それらを利用したメトリクス収集・監視が可能です。
ツール実行環境の構築
前提・制約
ツールは大きく分けて障害テスト実行環境構築ツールと障害シミュレーションツールの2つがあります。
障害テスト実行環境構築ツールはDocker EngineとDocker ComposeがインストールされたLinux系のOSで動作することを想定としています。
障害シミュレーションツールはテスト対象システムのサーバにSSHでログインし障害をシミュレーションするコマンド(stress-ng, tc, iptablesなど)を実行するため、障害をシミュレーションする対象のサーバはツール実行環境からSSH可能で必要なコマンドが実行可能なLinux系OSを対象としています。詳しくは障害シミュレーションツールのREADMEを参照してください。
環境構築手順
以下の手順にしたがってツールの環境構築をおこなってください。
ツール実行方法
以下の手順を参考にしてツールの実行をおこなってください。
ツールカスタマイズ
本ツールで利用するGrafanaやChaos Toolkitは独自に拡張が可能です。
障害シミュレーションのパターン追加
Chaos Toolkitは容易に拡張可能で、任意の操作(障害シミュレーションなど)を追加できます。
Chaos Toolkitにはあらかじめ用意された拡張があり、AWSやAzureなどさまざまなプラットフォームに対応することも可能です。その他に既存の拡張としてどういったものが用意されているかはChaos Toolkitのドキュメントで確認できます。
ユーザ側で拡張を作成することも可能で、主に以下の3つの方法で拡張を行うことができます。
- Pythonの関数を呼び出す
- 任意のプロセスを実行する
- Linuxコマンドを呼び出したり、GoやRustで書いたコードをコンパイルしたバイナリファイルを実行するなど
- HTTPリクエスト
- 特定の操作を行うHTTPエンドポイントを作成しChaos Toolkitからリクエストを送信する
詳細は以下のドキュメントを参照してください。
収集・監視するメトリクスの追加
Grafanaを任意のデータソースと連携してメトリクスの収集・可視化を行うことが可能です。本ツールではGrafanaをInfluxDBやPrometheusと連携してGolden Signalsを可視化できます。
独自のメトリクス監視を追加する際は以下の例を参考にしてください。